概要
私たち心臓血管外科は東北でもトップクラスの手術経験があり、安全に手術を終えることはもちろん「体への負担を小さくしながらも、同等以上の質の医療を提供する事」を目標に日々努力を重ねております。
心臓血管外科では患者様の体への負担を小さくするミックス手術(MICS)を積極的に行っています。
ミックス手術とは
ミックス手術とは低侵襲心臓手術(=Minimally Invasive Cardiac Surgery)の略で手術に伴う出血や痛みを少なくし、術後早期の社会復帰を目指すことの出来る手術法です。
通常の心臓手術は、胸の真ん中を20-25cmほど開けて、胸骨と呼ばれる骨を全て切った上で行われます。
術後、切れた骨が癒合するまでには時間がかかるため2-3か月間の活動制限が必要となってしまいます。
また、胸骨を全て切ることで出血や感染症のリスクが生じます。
ミックス手術は6-8cm程度の傷で胸骨を切らずに(あるいは一部のみ切って)行われます。
右腋窩(肋間)開胸アプローチ
図のように脇の下から大動脈弁置換術を行う方法です。
胸骨を全く切らずに行うことの出来るアプローチ方法です。
術後の活動制限もほとんど必要ないうえに、傷が目立たないので整容的にも非常に優れています。
胸骨部分切開アプローチ
8cm程度の傷で、胸骨の一部のみを切開して手術を行います。
胸の真ん中を切開する必要がありますが、胸骨を全て切る手術にくらべ骨の安定性が増します。
ミックス手術のメリット
- 術後の活動制限がほとんど無い(早期の社会復帰が可能)
- 傷が小さく、目立たない
- 出血が少ない
- 感染症が少ない
ミックス手術のデメリット
- 手術の視野が小さい
- 手術時間がやや長くなる傾向にある
ミックス手術は通常とは異なる小さな視野で行われるため、より慎重に手術を進めざるを得ない場合があります。
使用する手術器具や麻酔・循環管理なども特殊なものとなるため多くの手術を経験しているベテランスタッフのそろった施設で行われるべき手術です。
ミックス手術の対象となる病気
- 大動脈弁狭窄症
- 大動脈弁閉鎖不全症
- 僧帽弁狭窄症
- 僧帽弁閉鎖不全症
- 心房中隔欠損症
ミックス手術は必ずしも全ての心臓疾患、心臓手術で行えるわけではありません。
私たちは、患者様にとってベストとなる治療法を選択するために患者様のご病気や、手術前の検査データをスタッフ全員で十分に検討しております。
安全に手術を行うことが出来ると判断された方にはミックス手術を一つの選択肢として提示させていただいております。
私たちの取り組み スーチャーレス弁
手術での負担をさらに軽減すべく、私たちはスーチャーレス弁を導入しています。
心臓手術の中でも大動脈弁置換術という手術で使用する特殊な人工弁です。
従来の人工弁は、弁を固定するために糸を用いて15~20か所で固定していましたがこの弁は、糸を全く使用せずに弁を固定出来るため手術時間、麻酔時間を短縮することが可能となっています。
スーチャーレス弁を使用することの出来る医療施設は全国でも13施設のみ、東北・北海道地域では唯一、当院のみとなっています(2019年9月時点)。
リヴァノヴァ パーシバル生体弁